「…ああ、旅の途上で聞いたな。この村の話を。
―そこら中に妙な樹が立ってるだろう?

此処の土地は穢れているんだ。遙か昔の魔法でね。
なんでも旧時代の戦場跡だか工場跡だからしい。
とにかく地の髄まで、
普通の雑草なら歪んで繁殖できないか灼け死ぬ程に
魔力が沁みついてしまっているんだ。

だけれどあの樹は特別で、この土から生きる力を得、
過剰な魔力をああやって凝集し泡のように放出することで
生存できるんだそうだ。
今や採集する術も精錬する術も失われてしまった幻素を
多分に含んでいるその高純度の塊は、
我々にとって結構な資源価値があってね。
この村はそれを採集して生活する者達が集まってできた村なんだそうだ。

正式には長ったらしい名前があった筈だが、
村人達は皆あの樹を”妖精の樹”って呼んでいる。

…実際妖精達が営巣してたりするのもあるんだが、
その名を冠するだけの妖しさ――畏ろしさ、もあるんだそうだ。

…妖精の樹は、時折一斉にひときわ大きな魔力の泡をつくるんだ。
種を籠めた爆ぜる泡を。
ひとつの泡が割れるだけでも、
ひとつの樹が万色の炎でまるごと一気に燃え上がったかのような光が産まれる。
それが村中の樹で一斉に破裂するんだ。
夜空を地から極光のように煌めかすその光景は、
住人にとっては幻想的というにはあまりに鮮烈過ぎて。
それは美しいというよりも狂気に似ていて。

そして魔法の光はその眩さで視覚だけではなく、
他の全ての感覚すらも覆い尽くしていく。
音は聞こえず、触れている筈のものも感じず、
時間の感覚も、重力の向きすらも失う真っ白な世界。
まわりに何も無いかのような。
自分すらも無くなってしまったかのような無窮のひととき。
住人達はそんな夜を”白夜”と呼んで畏れているんだそうだ。

…だから此の村の住人達はああやって、
家も樹も…自分自身すらも、何もかも紐で縛り付けているのさ。
――夜が明けても、すべてがちゃんと其処に在るように――
そんなことをしたって何にもならないことは解っていてもね。
滑稽な話だろう?」

…猫はそっと首輪の紐に手を掛けました。
優しくというよりおずおずと。
―それはどこかすがるように。

「…そうだね、笑ったりなんかできやしないんだ。
…私も、貴女も」


























 愛らしいニャーニャー…。お腹を撫でてもいいですか? あっくん(2008/12/22,14:59)
狂気に囚われて自己をなくす…いいなぁ。
感覚がシャットされる瞬間ってどんな感じがするんだろう?
ふわっとするんだろうか?落ちる感じがするんだろうか?
自分もこの光に巻き込まれてそのまま消し飛ばされてしまいたい 若(2008/12/22,21:34)
カッツェさん「洞窟物語」と言うゲームをご存知ですか?
4年かけて作られた信じられないクォリティのフリーゲームです。
きっと気に入ると思います。
ファミコン黄金期を沸騰させるレトロ風なアクションシューティングゲームです。

って関係ないですねコレ^^;お邪魔でしたら削除して構いません・・・
ただカッツェさんには知って欲しかった! とたっけ(2008/12/23,19:45)
ヒント 過去の絵 ス=(2008/12/23,21:45)
うぉごめんなさい、既にあったとわ・・・
お恥ずかしや。 とたっけ(2008/12/23,22:33)

こめんと
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