「いい唄はみつかった?」
「今日は駄目ね。つまらない唄ばかり」
「…こんなのはどう?」

「素朴だけどなんだか心に沁みる唄ね…。いったい何処で?」
「子守歌だって。さっき食べた人間の、幼い日の思い出」
「そんなの、わかるの?」
「人間を―活き活きとした魂を食べるとね、
心の中に灯がともったみたいになるの。
魂の中に籠もっていた綺麗な心達が、私の中で爆ぜて、きらきらと輝いてね。
それが真っ暗でもう何も見えない私の心の中を照らしてくれて―
なにか―遠く埋もれてしまった何か大切なことを、思い出せそうな気がするの」
「でもすぐに灯は消えちゃってね。
燃え切らない暗い暗い心だけが真っ黒な燃え殻になって私の心に崩れて溶けて。
まるで灯がともる前より暗くなったみたいな真っ暗な闇だけにまた戻るの」
「ぬくもりも痛みも、声も光も遠く忘れてしまったかのような闇に。」
「この唄だってね、きっとすぐに忘れちゃうんだよ」

「ねぇ、もしかしたらだけど。人間を食べなかったら、なにかを、
―なんだかわからないけど、その何かを、また見つけられるんじゃないかな?」
「…」
「だめだよ」

「だっておなかがへるんだもん」


























静謐なようでいて、ただニヤリとさせられるだけではない諧謔を秘めた氏の世界に脱帽・・・ (2006/09/08,20:08)
人間は妖怪に食われる
そして食べた魂は闇の中へ TUKI(2006/09/08,20:34)
それじゃあ別のものを食べればいいじゃない

うわぁ無粋!無粋すぎる!死ねよ俺! (2006/09/09,01:35)
これは……良いorz
凄く、良いorz ETG(2006/09/09,02:21)
肉を食べてるんじゃなくて、人を食べている。
だから灯る。ほんの一瞬。 人双(2006/09/09,14:37)
嗚呼、鬼灯みたいに赤い魂
妖魔夜行に呑まれて消えて (2006/09/10,01:07)
これは素晴らしい詩わはー 米※(2006/09/11,17:51)
Katzehさんって、絵本作家になれると思ふ・・・。
 ぽち(2006/09/18,03:00)
食せねば、一条の光を胸に抱き死を迎える。
食すれば、何物も決して届かぬ漆黒の闇を胸に抱き生き続ける。

どちらが真の理かはわからない。
ただ、聖人の称も、咎人の称も、背負い歩くには重過ぎる。 北方人生論(2006/09/20,21:27)

こめんと
Comment
名前Name(任意)
隠すHidden